通常、バギオで路上生活者を見ることはあります。日中であれば、街の中心、セッションロード付近には小銭を求める方が少ないですが一定数います。私は2年半以上バギオに滞在しておりますので、だいたいいつも誰がどこにいるのかがわかるのですが、年末年始、特にクリスマスの期間、バギオで見かけない容姿の路上生活者の方を多く見かけるようになります。これらの方々のほとんどはバギオ地域以外からの遠征組です。フィリピン各地から多くの観光客、強いては生活に余裕のある上流層、中流層が訪れるバギオに、恵みを求めてやってきます。バギオであれば他の地域よりもお金や食料を恵んでもらえる機会が増えるからです。ここで問題なのは彼らの態度です。元々バギオにいる方々はただ座っていたりと、執拗に求めてくることはほとんどないのですが、他地域からやってきた路上生活者は「Merry Christmas, give me money.」と直接的に言って近づき、進路を妨害する、手や洋服を掴む、私有地に侵入するなどの行為がしばしば見受けられます。お金を渡すという行為でその状況から抜け出せるのは確かですが、それが果たして本質的に彼らを救うことになるかは疑問が残ります。私たち日本人は世界的に見て、とても豊かな国に生まれたことは確かです。しかし、だからと言って路上生活者の方全てに満遍なく分けてあげられるお金は、我々個人にはありません。であれば、私たちが出来るのは、途上国でのこの現状に目を向け、それに対して自分の意見を持ち、信念に基づいた情報の発信などの発言、行動を起こすことだと、私は信じています。
対応策
むやみやたらにお金をあげることはお勧めできません。なぜなら1人に恵んだその行為を見た他の方があなたを「あの人は恵んでくれる人だ」と判断し、次から次へと寄ってくる可能性があるからです。もしその状況に置かれた時、成す術無く拒んだあなたは「なぜあの人には恵んで、この人には恵まないのだろう」と答えの出ない疑問を抱えることになるかもしれません。もしそうであれば、最初から誰にも恵まない方が良い、と私は考えています。「恵まれた人は運があった」と片づけられる問題ではありません。その根本にある問題に目を向けることが大切です。一時的な援助ではなく、恒常的な支援を継続させる社会を作るために、あなた自身が考えて、何らかの形で貢献することが求められます。
路上生活者の方に恵みを求められたときは、決して無視せずに、目を見て、「I’m sorry. I don’t have much money to share with you.」と言いましょう。この言葉の後に失望に満ちた眼差しを見ることもあるかもしれません。そのことを留学が終わっても忘れずに、胸に刻んで、持ち帰り、フィリピンやその他途上国、世界各地の貧困に関心を持ってください。そうすることが本当の意味で、未来にある海外就職や、グローバル思考で生きることに繋がるはずです。